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ジェイソン・ブラウン

昨日は本当にたまたまだった。
帰宅して風呂に入って一発抜いたらそのまま寝てしまっていたようで寒さで目を覚ます。
点けっぱなしだったテレビを見てみるとフィギュアスケートが流れていた。
 
飯でも食うかとひじきの煮つけ、玉こんにゃく、切り干し大根を皿に盛り付けテーブルに着く。おっと、ほうれん草のおひたしを忘れていたなと思い冷蔵庫に取りに行こうとして立ち上がるとオネエみたいな選手が画面に写っているじゃないか。なんかりゅうちぇるっぽいな、ちぇるちぇるランドの出身かな?とか思いながら作業を再開しようとすると彼の演技が始まった。
 
度肝を抜かれた。全く目が離せない。ジェイソン・ブラウンとかいうのか、なんだこいつは。
 
技術的なものなんてよくわからないけれど、異常なくらい人を引き込む滑りだと思った。優雅でダイナミック。そして本当に楽しそうに滑る。表現力ってこういうもんなんだなと理解できる滑りだった。
ほうれん草のことなどしばし忘れ、彼の演技に食い入っていると、なにかが頬をつたう。涙だ。
 
え、マジかよ。俺、フィギュア見て泣いてんのかよ。
 
初めての経験だった。元々フィギュアスケートは結構好きで、4,5年前までは結構見ていた。最近はそんな心の余裕もなく見れていなかったけど今までこんなことなかった。そりゃ、荒川静香が金メダル取った時とかのさ、そういう結果ありきで感動して涙ぐんだりしたことはあったよ。でもさ、純粋に演技だけ見て泣くなんて思いもしなかったわ。しかも自然に「スッ」と涙が頬をつたうような泣き方。本当に感動してるんだなって感じじゃん?まぁ実際本当に感動したんだけどさ。
終盤に入ると、演技が終わる前なのにもかかわらず観客からの拍手が起こっていた。やっぱり観客もわかっているんだなと思った。
 
彼の最終的な成績は6位だった。
彼が今やっているのは競技スケートであり、点数によって順位が決まるが、こういったスポーツの本質ってのは違うわけだと思う。「どれだけ人の心を打つのか」、ここが重要な点であり、彼は、ジェイソン・ブラウンはそういう意味ではマジもんの天才じゃねーかと晩飯を食いながら思った。
 
あ、今思い出したんだけど昨日ほうれん草食い忘れた。
 
 
演技が終わる前の観客たちのスタンディングオベーションたるや。